郡別岳
〜郡別川林道から増田の沢〜郡別岳南稜尾根ルート〜
Part 2




見えてきた……

左に郡別岳鋭鋒・右に奥徳富岳(尾白利加山)1346m
C609m先、眼前左手に鋭鋒・郡別岳、右手に奥徳富岳(尾白利加山)1346mハッキリと見えている。

郡別岳は、見るからに岩稜を携えた迫力のある山だ。

奥徳富岳は、大きな稜線を持った山というイメージで、郡別岳に引けを取らないほど迫力ある山だと感じた。

果たして、視野に入れているこの奥徳富岳まで回りきれるだろうか。

あとは時間との戦いだろう…
まだまだか……

郡別岳鋭鋒ズームアップ
郡別岳の迫力ある山をズームアップしてみた。
やっぱ、迫力あるわぁ〜

妙に納得。
滑り落ちるように…

熊の平付近
C609mから、さらに先へ向うと大きな沢地状の雪原に落差10mほど落ち込み、横に長く連なった小さな雪庇に出くわす。
一番雪庇が薄い場所を選んで、その雪庇を崩せば、いとも簡単に滑り降りるように下ることができる。

そこからは、沢が複雑に入り込み、平らな地形で広い雪原に出る。

通称「熊の平」と呼ばれている場所だ。
情報収集の中の説明では、沢が三方から集まってできたらしい。

見るからに複雑で、迷い込みそうな地形だ。
天候に左右されそうで、ホワイトアウトはいただけない場所だ。
う〜ん、気をつけないとなぁ〜

時計は、8:40を指している…歩き始めて約2時間35分を過ぎている。
なかなか遠い…

C648m手前左側付近から望む郡別岳
C648m方向に歩いていくと、だんだんと目標の山・郡別岳がハッキリと見えてくる。

でも、いっこうに距離が縮まってこない。

目の錯覚か、それとも単なる距離感の錯覚か…
傾斜…

C648m過ぎ左側から増田の沢へ向う
C648mを右手にお奥に見ながら、左から右に流れる斜面を歩く。

初めは、緩やかな斜面もだんだんと急な斜面になるつつある。
沢地へ…

増田の沢への道
そして急斜面を、どんどん沢地へと下っていく。
時折足を止めて、地図を見ながら場所確認。

もし間違っていたら、この急斜面を登り返して戻るのに一苦労するから、念には念を入れないと…

うん、間違いなくこのルートだ。
お〜っ!

増田の沢
そして、少し広めの沢へ下りきると、遥か向こうの沢地上流部の雪壁にポッカリと穴が開いている。

まさしく、ここが通称「増田の沢」と言われている場所だ。

そのポッカリと穴が開いているのは、滝ってことか?
よく目を凝らしてみると、まさに滝だった。
雪の壁が…

増田の大滝
時計は、09:25を指す頃…「お〜っ!滝だぁ〜
間近に見ると迫力がある。

今日は、この滝も見てみたくてこのルートを選んだのだ。
この滝、よく見ると沢地の雪の下から水流が現れ滝となって、再び雪の下へと潜りこんでいる。
つまり、今自分が立っている雪原の沢地は、川の上って事になる訳だ。

耳を澄ますと下から水流の轟き音?これって、「ヤバクねぇ!」…って考えている場合じゃないか((笑

ここからは、沢を詰めずに滝を右側に、いわゆる左岸側に巻いて1079mP(ピーク)へ登り始める。
振り返ると…

シラカバの樹間に黄金山
1079mPへの登りは、今日のルートの中では一番キツイ急登だった。
ほぼ直登に近い状態で、標高差400mを一気に登り詰めると1079Pだ。
地図で確認すると、1079mPの直登はかなりキツイとみて、南稜尾根の間のコルの方が距離を短縮できるようなので、そちらを歩くことにした。
と言うより、先行者のトレースが1079mP方向とコル方向へ付いていたのが気がかりで地図を確認したのだ…
いわゆる、トレース泥棒に変身してしまった。((笑
先行者の皆さんのトレース、有難く使わせていただきました…感謝いたします。

時折後ろを振り返ると、シラカバ樹林の間から遥か向こうに黄金山の黒い頂が見えている。
あれは何?
クリックすると「空沢」の拡大画像が見られるよ
樺の穴茸?
左手を見れば、ダケカンバの樹木に何やら黒っぽいものが?
自分勝手な推測だが、数年前に一世を風靡した「樺の穴茸」ではないかと。

このような光景は、登山を趣味にしている人は、あちこちで見かけることが多いと思う。

樺の穴茸ハンターなら、すかさず持っていくのだろうか?
私なら、持って行かない…帰りのお荷物になるだけで疲れるだけだし、興味も無いからね。((笑
長い…

急登が続くC1079m〜南稜のコルへの登り
相変わらずの急登が限りなく続く。

標高差400mの一気登りは流石に堪える。
う〜ん」我慢のしどころだ。

先行者のトレースに沿って、10mに登っては立ち止まり、「ハァ〜フゥ〜……」と呼吸を整えては、また10m登る…その繰り返しの連続だ。
追いついた…

南稜岩峰
やがてコルに近づくと、南稜岩峰が前方上部に見えてくる。
何やら黒っぽい人影らしきものが動いている。
熊ではない、間違いなく先行者たちだ。
やっと追いつき、先行者の面々に挨拶する。
どうやら、パーティーの面々らしい…うち一人は単独行者らしいのだが。

彼らは、ここでアイゼン装備に切り替えて先に登って行った。
自分は、彼らの邪魔をしたくないので少し時間をずらして小休止。
その間に、軽く1個だけオニギリを食べる…登山開始から4:10、初めて口にした食べ物だった。

やっぱ、腹持ちが良いお米が一番だわ〜」…至福のひと時だった。
息抜き…

ダケカンバ越しに振り返る
オニギリを食べながら、何気なくダケカンバ越しに登って来た方向を見ていた。

何故、自分は山に登っているのだろうか?
不思議にどう考えても答えは、見つからなかった。
「う〜ん、何故なんだ。」…多分、自分に試練を与えながら、それを克服しようと頑張る。
その先には、きっと良い事があるからなのだろう…なんてカッコよく、自分勝手な解釈してみた((笑

さぁ〜、また登ろうか。」と重い腰を上げる。


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