コイカクシュサツナイ岳〜ヤオロマップ岳〜1839峰
(1771m〜1811m〜1796m)
〜コイカクシュサツナイ沢・夏尾根コース〜

第二日目


第二日目の朝・・・ 
して
コイカクシュサツナイ沢の遠望
昨夜の霧雨が嘘のように晴れ渡り、絶好の登山日和・・・とここまでは。のちに悪天候になろうとは思いもよらなかった。。

夜中に見た満天の星空といい、早朝の雲海と日の出といい、素晴らしい朝だった。。
すぐに朝食を済ませ、朝の6時に1839峰目指して出発・・・これものちに、撤退の元凶になる要因で、少なくとも5時前には出発すべきだった。(ちなみに、単独で登った時はラテルネを装備しながら4時には出発していた。)

歩き始めると左手に、登ってきたコイカク沢が見える。

追記・・・そういえば、カムイエクウチカウシ山の方角にレンズ雲のような雲が浮かんでいたのを思い出し、後で調べたら、レンズ雲は悪天候の前兆だと言うではないですか・・・これだったんですね、のちの風雨の原因は。。
ラテルネ〜頭部に装着する電灯。ヘッドランプ。本来はランタンの意。【仏】laterne【英】head lamp
いよいよ今日は!
きました
コイカクシュサツナイ岳手前から1839峰遠望
右手には、目標の1839峰が遥か遠くに見えている・・・テン場から往復12〜14時間を想定しての稜線往復縦走であり今回の山行で一番の行程となるはず。
まだここまでは非常に天気が良く、みんな今のところハイテンション状態・・・そりゃこれだけ天気も良ければ、ハイな気分になるさ((爆
でも、日高の稜線歩きは普通ではない事を他の3名は理解してないかも知れない。
まずは最初に、コイカクシュサツナイ岳を目指して登り始める。
コイカクシュサツナイ岳が・・・
残念な
コイカクシュサツナイ岳山頂
テン場から歩く事、10分でコイカク山頂がはっきり見えてくる。
今のところ、稜線歩きとしてはかなり歩きやすい。
このまま、ずっ〜とこんな稜線ならいいのに・・・
コイカクシュサツナイ岳手前から・・・
ことに
ら 中央左からヤオロマップ岳 右に1839峰
すぐにコイカク山頂が近くなります。
1839峰も、まだ今のところハッキリ見えています。
まだまだハイな気分は抜けません・・・抜けたら困るよね((爆
コイカクシュサツナイ岳手前に・・・ 
あいにくの
北大山岳部の遭難慰霊碑のケルン
コイカク山頂からすぐ手前に北大山岳部の遭難慰霊碑のケルンがある。
慰霊碑には、「コイカクに逝ける友を偲んで 1985年・・・」と書かれている。

思わず、手を合わせ故人を偲び、これからの山行の無事を祈りつつ・・・
最初のピーク!
雨模様
コイカクシュサツナイ岳山頂
夏尾根頭テン場から登る事15分でコイカクシュサツナイ岳山頂に着きます。
ここにも二張り分位のテン場があります。夏尾根頭には三張り分のテン場がありますが、万が一張るスペースが無い時はこちらを利用するしかないでしょう。
ここからも展望は素晴らしいかった。。
一気にコルへ下る・・・
でしたが
コル付近からヤオロマップ岳へへ
コイカク山頂1721mから最低コル1560mまで、帰路の登り返しがキツそうな下り斜面をハイマツを漕ぎながら延々と下っていく。
このコル付近は熊の通り道らしく、立ち止まらずにそのまま登りへと歩き出す。
まだまだ・・・
花三昧で楽しみました。
遠い1839峰
何となく1839峰が近くに見えてきたように感じる。
少しずつではあるが、ガスがかかってきだした。
やがて風も強くなり始める。
小休止!
平山
エネルギー補給中

コルから20分ほど登ると休憩にはちょうど良い場所があったので、ここで朝食の足りない分をエネルギー補給する。

といっても、カロリーメイトなのだけど((爆
1839峰まではまだまだ先なのだが、みんな少しバテているように感じた。
ここまでは、夏尾根テン場から約1時間40分くらいだろうか。。
ちなみに、ここから我々のテントが見えますよ・・・中央の高い山の左側のピーク付近にあります。小さいので次の画像をクリックしてみてくださいね。
何度もピークを・・・
から
遥か遠くにマイテントが見える
左の画像をクリックするとよくわかりますよ。
左側のピークの山頂付近に小さく赤っぽいテントが見えるはずです。
見えませんか?
戻る時は、ブラウザで戻ってね。
少しずつ天候が・・・
比麻奈山と
十勝平野方向
この辺りから十勝平野方向を眺めてみたものの、ガスって遠くが見えません。
小休止も程ほどに、先が長いのですぐに出発します。
でも、日高の山はいつ来ても飽きないんだよね〜((笑
やがて・・・
比麻良山の
ヤオロの窓が間近に
歩き始めて次に見えるのは、通称ヤオロマップの窓と言われる場所です。
ここからは、急傾斜のある登りが連続します。
しかも、稜線の幅が狭いナイフリッジ状態で・・・

追記・・・ナイフリッジ〜ナイフの鋭利な刃先のように、細い道。
ヤオロの窓の急斜面
日帰りの
ヤオロの窓の裂け目
ハッキリとヤオロマップの窓の裂け目が眼前に迫ってきます。
ここから見るだけでも迫力満点・・・
近いようでなかなか着かない。
ハイマツの薮漕ぎで歩いていても押し戻されて思うように進まないんです。
もう少しなのに・・・((疲
窓を覗き込む・・・
往復
ヤオロの窓からコイカクシュサツナイ沢
ようやくヤオロマップの窓に到着。
高所恐怖症の方には、かなりキツイ場所です。
画像では、たいした事ないように見えますが、かなり落ち込んだ裂け目で、その先には前日歩いたコイカク沢につながっているようだ。
遠くにまだ雪渓が残っている。
この窓の下から吹き込んでくる風はかなり強く、何故か、薮蚊や色んな虫までもが舞い上がるように吹きあがってくる。
ここで落ちたら間違いなく命はないくらい落差のキツイ場所です。
日高山脈特有の・・・
縦走
ナイフリッジの稜線歩き
ヤオロマップの窓を通過すると、今までの天気が嘘のようにガスが濃くなりやがて行く先々が見えなくなってきた。
風も強くなりだした。
いわゆる「ホワイトアウト」というやつです。
ここからは、さらに道幅が狭いナイフリッジ状態の歩きが強いられる。
まだ、中間地点のヤオロマップ岳にも着いていない。

追記・・・ホワイトアウト〜濃霧や吹雪でまったく周りが見えない状態。
ガスに包まれて
登山を
ヤオロマップ岳山頂
何とか細い稜線を歩き続ける事テン場から4時間「ヤオロマップ岳(1794.3m)山頂」に到着。。しかし山頂標識は見当たらない。以前はあったように記憶しているのだが・・・
ガスがかかり、予定より1時間近くペースが落ちていた。計算外だった。このツケが後に・・・
どうも仲間の一人が体調不良のように見えるのだが、本人は大丈夫だと云っている。
私には、体調不良の前兆のように思えてならなかったのだけど・・・

ここでも少し休憩し、時間も無いことからすぐに出発。
この辺りから、ガスが霧雨に変わりやがて雨に変わる。
ヤオロマップ岳から・・・
縦走
ヤオロマップ岳から急下降のコルへ
しばらく稜線を歩いていると、至る所にお花畑が広がる。
今は、花どころでない状態である。本当はゆっくり高山植物の写真を撮りたかったのだけど・・・今回は一枚も撮れなかった。。
そのうち、熊の掘り返しがかなりの範囲で広がっている。
しかも、まだ真新しい。
おまけに、熊の糞まで置いてある、「誰だこんな所に糞を置いていく奴は・・・」と言いたいが、山の主にそんな事云えるはずもなく、急ぎ足で通り過ぎる。
と言うより逃げると言った方が」正解かな((爆
そのあと、今度は帰りの登り返しがキツそうな急な下りを一目散に下るが、ハイマツと潅木で足元から頭まで引っかかるので下りでも思うように進まない。
挙句の果ては、足のスネから腿までムチで叩かれたように下半身はアザだらけになる。
やがて、霧雨から雨に、そして撤退・・・
登山を
何度も何度も大・小ピークを歩く
コルを通り過ぎ、今度は何度も何度もナイフリッジの稜線上にある大・小ピークを登ったり降りたりの繰り返しとハイマツと潅木の薮漕ぎに喘ぎながらの辛い歩きの連続。
ホワイトアウトで、先が見えないというもどかしさとで段々とペースが落ちていく。
やがて仲間の一人、体力もピークに達しているようだ。
携帯GPSで現在地を確認すると、1839峰までは1時間くらいであると判断する。

すると、何やら目指す方向から一人の青年が沢登りスタイルの重装備でこちらに向かってきた・・・例の青年である。
お互いにあいさつを交わして、「1839峰まではあとどのくらいですか?」と仲間の一人が尋ねると、青年は笑みを浮かべながら「行きで1時間、帰りで30分ってとこでしょう。」と言った。
今、時間は午後1時・・・正直言って行くか止めるか迷う。
すかさず彼は、私たちに「ラテルネとか、ツェルトとか、シュラフは持ってきているのですか?」と言った。
ところが、我々は誰一人ラテルネからツェルトシュラフは持ってきていなかった。自分も、持ってきたつもりのラテルネがアタックザックに入っていない事に気付く・・・マズイと思った。

結局、みんなの判断で時間も無く天候も悪いということで、1839峰を諦めて撤退することになった。 ほんとにもうすぐ目の前にあるのに残念だったと思う。

そのあと青年は、すぐにヤオロマップ岳へとかなり早いペース歩き出し、見えなくなった。
我々も青年を追うように急いで戻り始めるが、まったく追いつかない。
何とか辛い登り返しを歩き通してヤオロマップ岳まで戻ると青年が休んでいた。
彼はここで、キャンプして明日帰路に着くという。

ここで青年と別れて、コイカク夏尾根頭のテン場に向かうが、やはり展望のきかない帰りの登り返しは大変だった・・・正直言って、キツイ。。
最後の登り返し地点で、体調不良に陥った仲間が一人いた・・・やはりあの時は前兆だったに違いなかった。それでも何とか励ましながら歩き続けてテン場まで戻ってこれたのは幸いだった。

辺りは、霧雨状態で暗く、時計の針は、すでに夕方の5時30分だった・・・何とか間に合ってホッとする。 そしてその人は、即テントに潜り込むとすっかりダウンして寝てしまった。
残りの3名で、軽く夕飯をとり7時には就寝についた。

明日は、コイカクを下りコイカク沢を歩いて帰るだけ・・・無事に雨が降らぬ事を祈りながら夢の中へ・・・
追記・・・ツェルト〜簡易テント。シュラフ〜寝袋。携帯GPS〜グローバル・ポジショニング・システムの略で、全地球測位システム。ちなみに、私は、ガーミンのetrek レジェンドを使用。


NEXT〜三日目へ続く
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