残雪のニペソツ山(2013m)
〜幌加コース・シャクナゲ尾根からのアプローチ〜2日目

             
【行程&タイム】 休憩時間含む ニペソツ山
登り   下り時刻 場 所
05:00 前天狗C1地点
05:20 天狗平付近
07:20〜07:40 ニペソツ山
09:25 前天狗C1地点
12:50 幌加温泉手前登山口駐車地点
登り2:20 下り5:30  【行動時間】約7時間50分(休憩含む)




いよいよ…

前天狗直下のテン場から目指す

前夜の疲れも何とか残らず、早朝3時には目を覚ます。
とりあえず、各自それぞれ別メニューで朝食を摂る。

Yaさんは、角食パンにソーセージ挟んでマヨネーズをかけて食べていた。
Uさんは、アルファ米のレトルトを…
自分は、コンビニのオニギリとパンを食べる…でも、オニギリはパサついて美味しくなかったが無理やり腹に詰め込む。

さぁ〜身支度をして、ニペの山頂目指して5時頃テントを後にする。







幻想的…

朝霧の陽光の中

いざテン場を出発するも、辺り一面ガスの中。

時折、ガスに反射して幻想的な風景をかもし出す

いつもながら、早朝の空気はいいもんだわ」・・・

朝霧の陽光を背に受けながら、まだ見えぬニペの山頂を目指して歩き出す。
快晴…

Co1868m天狗岳へ

始めは岩礫帯を大きくコルへ下り、再び登れば此処が「天狗平」だ。

背後には、旭岳をメインに大雪山の山並みがクッキリと浮かび上がってくる。

登るべく前方のニペは、まだガス模様。
遥か遠きに…

Co1868m天狗岳西壁を巻く

やがて、天狗岳に差し掛かる頃、ニペの全容が見えてきだした。

山頂付近だけは、濃いガスに覆われていた。

その後、天狗岳西側を大きく巻いていく。
溜め息…

天狗岳巻き道からニペを見上げる

西側の岩が剥き出しになった山肌を大きく巻きながら歩く。

時折立ち止まりながら前方を見ると、相変わらず山頂付近だけがガスっている。



極楽のひと時?

ニペと天狗のコル付近

トラバースを終えると、天狗とニペのコルまで大きく下る。

ここで唯一、束の間のひと時を過ごす。
ここから望む大雪山系は、まさに一級品そのもの。
ニペへの道は、両側が切れ込んだ鋭い細尾根がどこまでも続くアルペン的山容だ。。
東壁側は断崖絶壁で落ちれば、命は無いだろう。

ここからは、アイゼン歩行に切り替えてピッケルを装備する。



ここからは雪崩斜面?

北斜面をトラバース

相変わらず踏み抜き状態が続き、やがて急登を攀じ登るように歩く。
大きな雪庇は風上側を歩く。

途中、前方に壁が立ちはだかる手前で進路を右にとる。

この位置からは、急な北斜面を横切るように大きくトラバースしていく。
滑落しそうな斜面ではあるが、ややザラメ状で雪質には問題ない。
カリカリ斜面でないだけ、歩きやすい。

雪崩も想定されるが、やや上部のため問題はなさそうだが慎重に歩く。「あ〜もう少し〜」と心は躍る((笑
トラバースの途中、最後の休憩を数分とる。
ここから眺める眼望は、まさに天下一品の大パノラマだ。
醍醐味…

北斜面の急登を這う

登り最後の休憩を終え、南北走る稜線に向って再びトラバースを開始。

途中、迫上がった雪壁にピッケルを刺して雪面に這うように登れば稜線に飛び出る。


至福…

ニペソツ山西壁をトラバース

ここからは、ほぼ稜線に沿って西壁を巻くように辿れば山頂だ。

だが、ガス混じりで山頂は見えにくい。
崖?

ニペソツ山

西壁もまた、急斜面で危険を伴うので慎重に歩く。

思わず、「やべぇ〜」と悲鳴をあげそうなくらいだ。
山頂まではもう僅かだが、どうやら変だ?
以前、夏に歩いた道とは明らかにルートが違うのだ。
やや、右寄りに回り込むように山頂へとルートが変わっていた。
後で気付くが、以前のルートは荒れていて切り替えられたようだった。

時計は7:20分、念願であった積雪期のニペソツ山山頂に立つ。

メンバー全員の顔がほころんでいる。
感慨もひとしお、苦労が報われた瞬間だ。
とにかく全員無事に登りきる。
あとはそれぞれ思い思いの喜びに浸り、まったりとした短い時間を楽しむ。
山頂で、携帯メール送信する人、記念撮影する人、腹ごしらえする人…
残念だが、山頂からはガスに覆われていて展望が何一つ見えない。
だが、心に目には360度の大展望が見えていたに違いない…。

少なくとも、自分は以前登った時の記憶を蘇らせ、見えないはずの展望にスクリーンのように写していた。

束の間の山頂を後にすれば、あとはテン場まで戻り、下山するだけだ。
下山…

前天狗直下のテン場まで下山

テン場までの下山は、往路を歩くが、最後の登り返しに息が上がりそうだ。
北側斜面のトラバースで、Nさんと私は小滑落をする。
大した滑落でもないので、ピッケルで簡単にブレーキ。
これがカリカリの氷雪斜面だったら、そうはいかないので改めて気を引き締める。
北斜面を過ぎれば、あとはどんどん下るだけだが、途中あちらこちらの雪面にクラックが入っている。
雪庇の亀裂なのだが、往路の時は知らずに雪庇側を歩いていたのには驚き、「ゾッ」とした。
かなり風上側を歩いていたのにも関わらずに…
一ヵ所、底の見えないミニクレバスがあったが、あれはいったい何だったんだろう?

やがて最後の前天狗への登り返しでは、さすがに皆息が上がり苦労していた。
やっと登り切ってテン場に到着。
休む間もなく、すぐにテントを撤収して、下山にとりかかる。
名残惜しむ…

前天狗東壁の急斜面を見つめる

テン場を後にして、前天狗を回りこむように東壁に向う。
東壁を下るが、かなりの急斜面をどう降りるか悩みそうだが、何のことはない、Nさんが尻滑りを始めたではないか((笑
それに続き、メンバー皆尻滑りを始めた。
これがまた面白いように滑っていく。
ザックの重さが報われる一瞬だった。
やや東壁の底まで一気に着いたら、今度はシャクナゲ尾根に登る。
尾根からは、スキーデポ地点まで雪面を踏み抜きながらチグハグによろけながら歩く。
デポ地点に辿り着き、背後を見上げると前天狗の東壁が立ちはだかっている。
その壁には尻滑りの跡が、いく筋も付いて残っていた…まるで雪崩のあとのように。。

さぁ〜ここからは、スキーで滑り降りるだけ。
快適とはいかないが、何とか林間を縫うように滑っていく。
何度も転びながら、林道まで降りるとここからは、歩く事が多くなる。

日当たりのいい場所では、雪が途切れて何度もスキーを脱いだり履いたりを繰り返す。
途中、前日に見た熊の足跡を横目に歩みを止めることなく先へと歩く。

昨日、見なかった熊に食われたシカの屍もあった。
あまりいい気持ちはしないので、足早にスキーを滑らせ一目散に降りていく。
12:50頃、ようやく登山口終点駐車地点について下山完了となった。

その後、幌加温泉で2日間の汗を流して、一路糠平・然別湖経由で帰宅の途に付く。

思い返せば、この山行はけっして楽なものではなかったが、思い入れのある忘れる事のできない一名山になることだろう。
ご同行された、北見山岳会さんと札幌組の皆さんありがとうございました。




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