トヨニ岳(1493m)
〜野塚トンネル北口十勝側駐車場からのアプローチ〜
Part 2

ホワイトアウトからの脱皮! 
平山
辿ってきた主稜線奥のホワイトアウト
振り返ると、あっという間に歩いてきた稜線が雲の中に消えていった。
もう少し遅ければ、ず〜っとガスの中を歩いていたのかもしれない
ようやく晴れ渡った主稜線・・・
から
トヨニ岳のニセピーク?
んっ!トヨニ岳山頂???
っな訳がないっしょ!
どうやらニセピークらしい。
このピーク・・・恐竜の背中のようなあの部分が、ナイフリッジ?らしい。
だが、この時点では知る由もないのは言うまでもないのだが・・・。
何やら嫌な予感?
比麻奈山と
ナイフリッジの稜線
やがてこのピークに差し掛かってみて一言「何じゃ、こりゃぁ〜」って叫ぶところだった。
はっきり言って恐竜の背中としか思えないこの細尾根、まさにナイフリッジもしくは、靴幅リッジと言っても言い過ぎではない。
引き返すに引き返せない自分がそこに居た((笑
どうしよう、どうしようもない。」ってまたも葛藤が始まった。
高いところは嫌いではないけど、万が一って事が脳裏を霞む。
細い稜線の途中から振り向きざまに・・・
比麻良山の
人の肩幅しかない稜線
う〜ん、行ってしまえ」の意思の方が強かった。
だから歩くことにした・・・まるでバカ丸出し((笑
そして一歩一歩慎重に歩き始めた。
途中、けっして余裕とは言えないが、振り向きざまに一枚写真を撮影してみた。
まるで雲の上を歩いているような錯覚を覚えた。
なかなかどうして、難なく歩いている自分に対して恐怖を覚えたのが妙に不思議だった((爆
やっと通過!
日帰りの
約40〜50mの細尾根ナイフリッジの稜線
短いようで長かったこの細尾根の稜線、何とか無事に通り越した。
ほっ!と安堵のため息が漏れたのは言うまでもない・・・
思えばスリル満点だった、なんて言ったら怒られるかもしれない。
すぐにここを後にして、先へと歩き始める。
遥か後方・・・
往復
遥か後方のガス交じり主稜線
細尾根から、少し登りきったところで振り向くと、
またもや、雲海の中へとあの細尾根が吸い込まれていった。
間一髪、やはり判断が少し遅れていたらホワイトアウトの中を歩く破目になっていたかもしれないと思うと運が良かったとしか言えない。
さほど強風は無く幸いだった事も・・・
もう少し・・・
縦走
雪庇が続く主稜線
今度こそ本当の核心部のようだ。
でも油断は禁物。
でも思わず、ニンマリしてしまった。
あともう少し・・・
ついに・・・
登山を
トヨニ岳本峰山頂
なだらかなところまで登りきると、どうやらここが「トヨニ岳山頂」のようです。
でも、どうも山頂らしくない山頂に戸惑いながらもどうにか辿り着いた。
時計はすでに午前11時30分を回っていた。
そして、遥か彼方にあの目標としていたピリカヌプリも見えている。
感無量としか思いつかないほど長い道のりだった。
次回は、あのピリカを目指したいと思う。
ん???よく見ると山頂には、二つのテントが張ってあるではないか。
どうやら、ピリカ狙いでお泊りさんが居たようだ。
下山方向には・・・
縦走
踏跡の無い東峰
そうこうしているうちに、そんなにゆっくりもしていられないのだ。
簡単に記念撮影を済ませ、すぐに下山することに・・・
下山予定の東峰方向に目をやると???誰一人として歩いた形跡が無いことに気づく。
見ての通り、足跡がまるで見当たらないではないか。
足跡をあてにしていた訳ではない・・・
とにかく下山開始、まずは小さな雪庇を足で削り落としながら雪庇の下に降りる。

画像をクリックすると、トヨニ岳東峰全貌がご覧いただけます。
ただひたすらに・・・
登山を
東峰山頂過ぎから完全にガスに覆われたトヨニ岳本峰
足跡の無い雪面を黙々と歩き東峰を登りきり、ピークの向こう側に出る。
振り向くと、何とすでにトヨニ岳山頂は厚い雲の中に吸い込まれていた。
唖然として、開いている口が塞がらなかった。
ホント、運がいいとしか思えないことが続く
あとはモクモクと下る・・・
登山を
全く踏跡のない下り
雲に追われるかのように足早に下山するも、雪庇の上を歩くので慎重に下りる。
やがて、雪が緩んできて足が埋まり始める。
時には、腰までズボッ!とはまる事も・・・
挙句の果てには胸まで埋まったところもあった。
とっさにピッケルで難をしのいだ・・・生き埋めだけは避けなきゃと思いながら・・・
振り返ると足跡が・・・
して
下りの自分の足跡
時折振り向きざまに東峰を見上げると見事なS字模様の雪庇が何故か綺麗に見えた。
自分の足跡が妙に滑稽に思えて仕方が無い((笑
よ〜く見ると酔っ払いが千鳥足で歩いているようだった。((笑
そんなことはさて置き、時間との勝負となるので、さらに足早に下山する。
右の方向に・・・
きました
辿ってきた遥か上の主稜線
そして右側の方を見上げると、登りで歩いてきた主稜線が遥か向こうに見えている。
小さな雪崩の跡も、少し見える。
今思えば、あの稜線の細尾根から落ちれば間違いなく死ぬかも知れないほどのスッパ切れた稜線だった。
名残惜しく・・・
残念な
遥かなる山をあとにして
振り向くも、やがて東峰も見えなくなり、さらに東峰より下のピークだけが見えている
登り始めてここまで殆ど休まず歩き続けてきた。
ここで小休止、アンパンで腹ごしらえして、クエン酸・アミノ酸・ローヤルゼリー入り飲料水を飲み干す。
やっと、身体が軽くなったような気がする。
あとはひたすら、沢の出合い付近まで下るだけ・・・もうひと踏ん張りの我慢です。
想定外の沢・・・
ことに
530m豊似川左股上二股
やがて沢のせせらぎが聞こえてくる頃、530m豊似川左股上二股に到着。。
ここで下山終了と言いたいところですが、
さらに1時間ほど歩かなければなりません。 
その前に、この沢を渡渉しなければ先へ進めません。
最初の2回は、何とか飛び石伝いに靴を濡らす程度に渡り終えました。
そのあと、沢の両側の残雪をへつりながら歩き続けたが、いよいよもって登山靴のままでは渡渉できない箇所に出くわす。
靴の中を濡らしたくないと言うわがままで身勝手な理由により、やむなく裸足になり膝までの沢を2回ほど渡渉した。
雪解けの水は、思った以上に「ひゃっけぇ〜」と言うよりも「痛ぇ〜」に等しかった。
足の感覚がなくなるほど痛いが、すぐに靴を履きなおして再び歩き出すも、またもや渡渉箇所が現れた。
「エ〜ィ!行ってしまえっ!」っと登山靴のまま渡渉したのに運よく靴の中まで水が入らず渡ることができた。
スパッツのおかげかな((笑
そして再び、沢伝いの雪面を歩き始める。
何度も渡渉・・・
ことに
野塚トンネル北口駐車場
やがて沢伝いに雪面を歩くこと小一時間、登山口のない登山口トンネル設備棟の駐車場に無事に帰還することができた。
時計は、すでに午後3時過ぎを指していた・・・何とかセーフでした。((ホッ!
登山開始から下山完了まで、かなりロスして約9時間半くらいの山行に終止符を打ちました。 

充実感に浸りながら着替えを済ませ、次なる山は何処へ〜と思いつつ・・・一路札幌の自宅へとほぼノンストップで帰路につく。

緩んだ雪面に手を焼いた今回の山行などすっかり忘れて、今度はピリカヌプリを目指す事に思いを馳せている自分がそこに居た・・・


トヨニ岳からの風景
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