トヨニ岳(1493m) 〜野塚トンネル北口十勝側駐車場からのアプローチ〜 |
【山行日】 | 2007年04月30日(月) | 【天候】 | 快晴 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【地域】 | 南日高 | 【標高差】 | 約1000m(概算) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【駐車場】 | 10〜15台位駐車可 | 【人員構成】 | 単独行動 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【GPS】 | GPSログ図・カシミール3D 〜DAN杉本〜 | 【広域地図】 | |
【行程&タイム】 休憩時間含む | |||
登り時刻 | 場 所 | 場 所 | 下山時刻 |
05:30↓ | 野塚トンネル北口 | 野塚トンネル北口 | ↑15:05 |
07:50↓ | C1120国境主稜線 | 530m豊似川左股上二股 | ↑13:55 |
09:30↓ | 1251P | 東峰 | ↑11:55 |
11:30↓ | トヨニ岳(本峰) | トヨニ岳(本峰) | ↑11:40 |
登り06:00 下り:03:35 【行動時間】約9時間35分(休憩含む) |
アプローチ! | |
野塚トンネル北口十勝側駐車場 |
以前から南日高のトヨニ岳を登ることに決めていて、今回初めて登る山なので、前夜から資料や地図の準備に余念がない。
4月29日午後2時過ぎに自宅を出発、国道234号線経由で安平町(旧早来町)〜厚真町を通り抜けて鵡川から235号線に乗換え、一路今日の宿泊地「道の駅みついし」に午後5時半過ぎに到着。 大袈裟に宿泊地とはいっても、いつもの車中泊なのに「宿泊」と言うほどリッチな気分に浸れるわけじゃないのです((笑。 この「みついし」正式には現在「新日高町」となっていて、町村合併前の旧町名です。 ここの道の駅は、「三石海浜公園オートキャンプ場」も併設されていてとても綺麗なキャンプ場です。 少し離れた高台にあった「三石温泉」は、道の駅横に併設されて「昆布温泉・蔵三」としてオープンしていました。 お腹も空いてきたので、(頭の中は明日の山行を「シミュレーション」している)さっそくカミさんお手製のお弁当を感謝しながら頂く事にする。 そしていよいよ明日の山行に備え、19時半過ぎには寝床に着く。 |
トンネル非常用設備棟横から歩く | |
トンネル非常用設備棟の駐車場 |
早朝2時半に目覚めて、すぐに身支度などしながら朝食のおにぎりを食べる。 まだ夜が明けきらぬ3時半過ぎに「道の駅みついし」を出発する。 車を走らせること約1時間半、浦河町を通り越して国道236号線(通称・天馬街道)を北上して野塚トンネル十勝側に抜け、まもなくトンネル非常用設備棟の駐車場に5時頃に到着。 すぐに登山準備をして、地図をザックの取りやすい位置に取り付け、GPSをセットする。 そしてトンネル非常用設備棟横の登山口の無い登山口?をチェックして5時半に出発。 画像をクリックすると、トンネル非常用設備棟横の登山口の無い登山口?の様子がわかります。 |
日高国境主稜線手前の尾根登り! | |
豊似川ポン三の沢支流スノーブリッジ尾根取付き付近 |
最初は沢の脇の雪上を歩きますが、やがて尾根取付き手前に沢の上のスノーブリッジを慎重に渡ります。
ここからが本格的な尾根取付きとなる。 踏跡のトレースがあったのでそれを拝借して登りだすが、連日の気温上昇で雪面はかなり腐って融けだしていて、歩くたびに「ズボッ!」と埋まる。 それもかなり深く踏抜く事もあるので思ったように進まない。、 「う〜ん! シンドイ」と言うより「いいかげんにせぇ〜」と言いたくなるくらい。 まぁ〜とにかく登るしかない訳で・・・ |
主稜線」直下の尾根! | |
主稜線までの尾根 |
だんだん尾根が細くなり出して、登り斜面が急峻になってきた。
一歩一歩、登るが呼吸も息絶え絶えになりだす。 やがて真上に主稜線が見え出すと、登る意欲も沸いてこようものだ。 依然、踏抜きが多いのが難点だが我慢するしか方法ないんだなぁ〜。 画像をクリックすると、雲海からの朝日が眩しかった・・・少しは気分も癒されてくるのが嬉しい限りだ。 |
もうすぐ主稜線! | |
主稜線直下の雪庇下のトラバース |
いよいよ主稜線が間近に迫ってくる。
まっすぐ直登したいところだけど雪庇が張り出しているので、トヨニ岳方向へ大きくトラバースして主稜線に出ることになる。 そしてここまでは、ツボ足で歩いてきたが問題になるような箇所はありません・・・ただ登り勾配がキツイだけかな((笑 |
主稜線に取付く! | |
主稜線尾根上の取付きから野塚岳(反対)方向の稜線 |
ようやくC1120日高国境主稜線に取付いた。(C=コルの略)
主稜線に立ってみると、素晴らしい展望を望むことができた。 雲海が山すそをかなりのスピードで流れているのが見える。 あまりにも絶景で言葉を失うほどだった。 でもゆっくりはしていられない、予定時間よりかなりオーバーロスしてしまった。 少なくとも、1時間以上ロスだ。 すぐに12本爪クランポン(アイゼンの略)を装着し、ピッケルを装備して再び歩き始めるも、突然ガスってきてしまった。 いわゆる「ホワイトアウト」状態。 さっきまではあんなに晴れていたのに・・・ |
ここからは、稜線歩き! | |
ホワイトアウトの稜線上 |
だんだん濃くなってくるガスに戸惑いを感じながら、「引き返せ…いや何とかなるさ!」と心の葛藤が始まった。
一度立ち止まり、装備しているGPSが間違いなく作動しているのを確認し、周りの状況をよく見極めて再び歩き出すことにする。 時折ガスが抜けたりもするが、依然ホワイトアウトの中を歩く。 主稜線上の雪は所々腐りかけて緩んでいるので、尾根登りと同様に時々「ズボッ!」と踏抜くことが多く、思ったより先へ進まない。 しかも雪庇の上を歩いている事もあり、踏抜きだけは避けたいのでやや雪庇とは反対側を歩き続ける。 |
全く見えない雪庇の稜線・・・ | |
稜線に僅かに残る踏跡 |
周りが全く見えない時もあるが、雪庇に注意しながら歩く位置を間違えないように慎重に歩く。
何も見えないと、歩くペースが落ちるのは仕方がない。 幸い踏跡も残っているので安心かな・・・ でも逆に恐怖感が薄らいでいく事のほうがとても恐い気がした。 単独行である以上、とにかく滑落、雪崩に注意するしかないのだろう。 いつでも滑落したときを想定して、ピッケルを突き刺しながらイメージして歩き続ける。 |
時折ガスが切れて・・・ | |
正面奥にトヨニ東峰が見えてくる |
幸運にも、ガスが切れ始めてきたように思う。
遥か遠くにうっすらとトヨニ東峰が見えてき始めた。 GPSで位置確認しながら地図を見る。 ピークがよく分からず、知らない間に1251Pを通り過ぎていたようだ。(P=ピークの略) 稜線の一部は雪が溶けて岩場が剥き出しになっている箇所もある。 アイゼンだと岩の上はかなり歩きづらい。 とにかく、慎重にピーク〜コルの登り下りを繰り返しながら歩く |
雪庇がはっきりと見え、やがてその奥に・・・ | |
左に主稜線雪庇と奥にトヨニ東峰 |
トヨニ岳方向を見上げると、まさにコウモリが翼を広げたように見える。
左から南峰・本峰・東峰と目で確認できるくらいガスが切れてきた。 右側の雪庇の張り出しもよく確認できる。 狭い稜線の所々に雪庇の「クラック」も見られるようになってきた。 そして所々に小雪崩の跡も見られた・・・気をつけよう! |
トヨニ岳本峰への長い稜線歩き | |
トヨニ南峰が見えて |
踏跡の状態からして、途中から稜線を登らず雪庇を避けて、大きく右側にトラバースする箇所があったので、そちらを歩くことにする。
かなり長いトラバースだった。 極めつけは、雪交じりの岩礁地帯のコルで熊の足跡を発見・・・即座に周りを警戒しながら急ぎ足でその場を去った。 とても笑い話では済まされない訳で・・・っと笑ってしまう自分が妙に変だった。 そして、いよいよクライマックスの登りはやや急登となる。 雪庇の踏抜きと滑落が一番発生しやすい登りでもありそう・・・ 気合を入れて、いざ出陣! なんてカッコつけても誰も見てやしないのにねっ・・・((笑 |
ホワイトアウトから抜け出し… | |
トヨニ岳全貌 |
完全にホワイトアウトから脱皮???
はっきりとトヨニ岳全貌が見えてくる・・・ まさにコウモリの姿そのものだった。 感動の一瞬だ。 画像をクリックすると、トヨニ岳全貌がご覧いただけます。 |
もうすぐ! | |
稜線上に剥き出しの岩塊 |
やがて、稜線上は細尾根となりつつ、恐怖感を覚えてきそうな場面も出てきた。
岩が露出しているところもかなり目立ち始めるも、慎重に歩き続ける。 |
振り向けばホワイトアウトの主稜線・・・ | |
辿ってきた稜線 |
歩いていくにつれ、またもやガスってきだした。
山肌がまるで「山水画」のような幻想的な世界に見えてしまうのは自分だけなのだろうか((笑 やがて、けっこう急峻な登りも多くなってくる。 |
後方の稜線上・・・ | |
辿ってきた主稜線の雲海 |
相変わらず、ガスが切れたりの繰り返し。
ふっと振り返ると背後にはこれまた「山水画」のようで思わず見とれてしまうほどだった。 登ってきたのは、遥か奥のあのガスの下からで、延々とここまで4時間半は要している。 ホワイトアウトと緩んだ雪に時間を費やしてしまったのだから・・・ |
まもなく山頂・・・ | |
主稜線を歩きながら左手に雲海 |
向かう方向の左手にも雲海が・・・
やがてあのナイフリッジの細尾根が待ち構えているのも知らずにひたすら登り続けている。 「う〜ん、なんだかなぁ〜」って言っている場合じゃないのに・・・ |